[森(北)] 誓約の幹部 : ──男が歩いてきたのは、鬱蒼とした森の中。
この崖下にある洞窟が、男の現在のねぐらだ。

[森(北)] 誓約の幹部 : 利便性などを考えれば、川沿いや海岸近くを拠点とした方が良かったのだろうが……。
こちらの方が落ち着く、と感じ、この薄暗い洞窟を一時の寝床としたのだ。

[森(北)] 誓約の幹部 : 先ほど捕らえた小魚の鱗とワタをナイフで乱雑に取り、血抜きすらせずに口に含む。
傷病の一切を能力により無視出来るが故の無茶だ。

[森(北)] 誓約の幹部 : ……生臭い。

[森(北)] 誓約の幹部 : 文明とは程遠い味に眉を顰めて。
そうして残った骨や皮を地へと埋める。
それはせめてもの聖職者としての体裁か、それとも放置する事により獣に勘付かれる事を恐れてか。

[森(北)] 誓約の幹部 : 何れにせよ、栄養補給を終えた男はしばし目を閉じる。
陽光に照らされながら広い島を歩き、体力は相応に削られてしまった。

[森(北)] 誓約の幹部 : ……自分は本当に帰れるのだろうか。

[森(北)] 誓約の幹部 : 意識が堕ちきる寸前、頭をよぎった考えは膨らむ前にぷつんと途切れた。

[森(北)] 誓約の幹部 :  

[森(北)] 誓約の幹部 : 「……寝過ぎたか」
小さく呟いて、辺りを見渡す。

[森(北)] 誓約の幹部 : 空の色は変わり、風が洞窟を吹き抜ける。

[森(北)] 誓約の幹部 : 「ん……」

[森(北)] 誓約の幹部 : 「へくしゅっ…!」

[森(北)] 誓約の幹部 : 洞窟の中に音が響く。

[森(北)] 誓約の幹部 : 「……加護を強めておく、か」

[森(北)] 誓約の幹部 :